Othello! JAPAN Blog
ついついやってしまうルール違反について。
善かれと思ってやっちゃうそれが、実は良くないことだったりもするので、大会を運営してて気になることを書いてみます。

席を立った相手のために時計を止める


これは完全に「善かれと思って」やっちゃう人がいると思います。

対局中に、対戦相手がどーしてもトイレに行きたくなっちゃうとか、どーしても仕事の電話に出なきゃいけないとか、対戦相手が席を立つ場合がたまぁにあると思います。
するとたぶん、「フェアに」やるつもりで、時計を止めてあげちゃう人がいると思います。

これね、確かにその席を立った人に対しては「優しい」行為かもしれないのですが・・・

別の目線で見ると、大会の進行を遅らせる行為になり得ます。
そのゲームが両者ギリギリまで時間を使ったとすると、そのゲームの本来の終了時刻より、時計を止めていた時間だけ長くかかることになります。
全員に迷惑をかける行為になりますからね、もちろんそんなことをしていい権利はありません。

とゆーことで、対局時計はむやみに止めないようにしましょう。
対局中に時計を一時中断して良いのは、何かトラブルが起こって審判(的な人)を呼んで判断を仰ぐ必要がある場合だけです。

時計を押した後、盤上の乱れた石を整頓する


石を裏返すと、マスの中心から結構ずれちゃって、わりとぐちゃぐちゃになっちゃう場合がありますよね。
それを真ん中に近い位置に直す行為、やって良いのは自分の時間内だけです。

着手を終えて時計を押した後、すなわち相手の時間にしてから、乱れた石をとんとんっと触って直す人がいますが、これは絶対にやっちゃダメですよ。

冷静に考えたら誰でもわかると思いますが、自分が見て考えているのに、盤上に相手の手が被さってきたら嫌ですよね。この行為は明らかに相手を妨害していることになります。

でもこれってルールで明確に決められているわけではないので、これ系でトラブった場合、その大会の主催者がどう考えるかに大きく影響を受けそうです。

こっちの時間なのに相手がやたら石を直そうとする、何度言ってもやめてくれない、とかね。
あとあれですよ、相手が打つたびにぐちゃぐちゃにされるので、見やすくするためにわざわざこっちが直さなきゃいけない、時間も神経も無駄に使わされる、とか。

たぶん、あまりにもぐちゃぐちゃにされたら時計を押して相手に直させてよさそうですが、それもはっきりとルールでは定められていません。そもそも、どれだけ乱れていたら整頓しろと要求できるのかの決めも難しそう。

私もこれに関してはっきりとした答えは持っていません。参加者の良識に委ねると言うか。。。でもそんなんだと、いざトラブった時に困るんですよね。本当は何かはっきりとしたルールを決めておくべきところです。

今日は日本オセロ連盟競技ルールに書いてあるルールから、最終手を打った後の動作について。

日本オセロ連盟競技ルールには以下のように書かれています。
最終手を打ち終わった対局者は、時計を停止し(デジタル時計の場合は中断ボタンを押す)、最終手に不正がないかどうか、また、自分の持ち時間が残っているかどうかを相手に確認させなければならない。このときも、不正着手の指摘は第5項@と同様の方式による。なお、仮にこのとき相手(最終手を打った側でない方の対局者)の時計に時間切れが認められても、その指摘はもはや無効である。
これって、、、
中断ボタンを押すのはちょっと変じゃないかと思っています。

ルールにも書いてある通り、最終手を打った後も「不正着手の指摘」の可能性が残っているわけで、それが完了して初めて時計を止める、ってのが自然に感じます。

私が「こうあるべき」と思っている流れは以下の通り:
AとBの対戦で、Bが最終手を打つ側とします。
Bが最終手を打ったら、普通に時計のボタンを押す。(普段の着手と同様)
不正着手があれば、Aは時計を押し返してBの時間で訂正させる。
不正着手がなければ、Aは中断ボタンで時計を止める。
最後に中断ボタンを押して時計を止める行為は、試合が終わったと認めることになります。
Bが最終手を打った段階でBが「終局」とする権利はなく、Aが「不正着手はない」と認めた時点で終局となります。なので時計を止める行為はAが行うべきです。

まぁ、細かいことなんでどうでもいいと言えばどうでもいいんですが、安全のためにも、時計の上に着いてるボタン(普段着手後に押すボタン)以外は触らないようなルールにした方が良いと思ってます。ザ・名人戦の仕様はそうではないのでいいんですが、時計が動いている状態であるボタンを押すと初期状態にリセットされてしまう対局時計があります。中断ボタンを押すつもりがそのボタンを押してしまったりしたら、時間がリセットされてしまったりしてまた揉める原因にもなりかねません。

例えばね、Bが最終手を打って残り2秒、中断ボタンを押そうと思ったらそのリセットボタンに指が触れてしまい、時間がリセットされちゃった。で、Bは最終手で返し忘れをしている。となるともはや、何秒残ってたかでも揉めそうでしょ。

上のルールにもある通り、Bが最終手を打った後でAが時間切れになることはないわけですから、私の推奨する方法で問題が起こる可能性はありません。
なのでみなさんもぜひ、最終手を打つときには普通に時計のボタンを押しましょう。
中断ボタンやリセットボタンで時計を止めるのは、相手が終局を認めてからにしましょう。

連盟ホームページの「日本オセロ連盟競技ルール」に、「両者針落ち」なんて不思議なケースについて書いてあります。
対局者双方が気付かぬうちに双方が時間切れしていた場合は、対局者または審判の指摘により試合は終了し、結果は、双方2石負けとする。なお、トーナメントの場合は、引き分け勝ちの権利者が次の試合に進むものとする。
この競技ルールのページには、以下のような但し書きがあります:
当競技ルールにおいて、あらかじめ将来起きる全ての問題について、個々の解決法を具体的に示すことはできません。この競技ルールの条項に規則だてられない事は、類似した状況から無理の無い類推、もしくは慣習によって妥当な解決に到達するように、選手・審判が協力し合いながらの運用をお願いいたします。
こんな但し書きがあるのに「両者針落ち」なんて変なケースについては決めてある!

これはね、過去に実際起こったことがあるから決められてるんですよ。

両者針落ちって何?


これ、デジタルの対局時計だったら起こらないですよね。
あ、ものによるかもしれませんが、メジャー大会で使用しているザ・名人戦だったら、一方が時間切れになれば時計が止まるので、気が付いたら両方とも0になってた、ということはないと思います。

なので私も、このルールに違和感を覚えつつも、まぁ別にいいか、と流してるところです。

アナログ時計だと有りえます。
1. 相手の針落ちに気づかず、自分も針落ちしちゃう
2. 互いに針落ちすれすれで、一方が時計を強めに叩いた結果両方が同時に針落ち
という2つのケースが考えられるのかな。

気が付いたら両者時間切れになってた


上に書いた 1 のケースでは、まぁ、確かにどっちが先に時間切れしたのかわかりませんね。

それでも私はどちらかの勝ちにすべきと思いますが、まぁ、勝者を決められないという考え方もわからなくもないこともないこともないです。

時計を押したら両方針落ちになった


このケースは、さすがに「時計を押した人の針落ち」でしょう。
理論上「同時に時間切れになる」ことは有りえないわけで、言ってみれば時計の欠陥によりそういう事態が起こり得るわけですからね。
Aさんが時計を押して同時に針落ちになったのなら、
1. Aさんの時間が切れる
2. Aさんが時計を押す
3. Bさんの時間が切れる
とみなすのが妥当でしょう。
この、1⇒2 及び 2⇒3 にかかった時間が限りなく0に近かったために、「同時に時間切れになったように見えた」と考えましょう。

気が付いたら両者時間切れになってたケースを再考


1のケースをもうちょっと掘り下げて考えてみます。
現在Aさんの手番。
時計を見ると、両者針落ちになっている
これさ、Bさんの針落ちに気づかずAさんが次の手を考えていて、そしてAさんも時間切れになっちゃった、とみなすのが自然じゃありませんか?
それならBさんが先に時間切れになってるわけで、Aさんの勝ちとして良いでしょう。

ただもちろんその前に、Bさんも同じ状況だったけど、気づかず打っちゃった、という可能性もあります。
ただこの場合ね、これは不正着手に対する対応と同じで、「その状況を受け入れて試合続行」を選択したと言えます。相手は時間切れしてるけど、試合続行を受け入れた、ってことね。

ということでどちらにしても、このケースはAさんの針落ち勝ちにして良いと思うんですね。

両者針落ちの扱いに対する提案


ここまでの話をまとめると、お互い気づかぬうちに両者時間切れ、一方が時計を押した瞬間両方が時間切れ、このどちらについても、
両者針落ちの場合はその時点で手番側の選手の勝ち
という言い方ですっきり決めて良い気がします。

大昔に決められたルール


まぁ何にしてもね、両者2石負けって変なんで、なんとかして欲しいな。

これって大昔に作られたルールのはずでして、たぶん、現在理事をやってる人はこのルールの制定には関わってないと思うんですね。
このルールが適用される状況はおそらく発生しないからまぁいいんですが、こういう変な決めが「日本オセロ連盟競技ルール」に載っているのが嫌なんで、見直すか、削除しちゃうかしてくれないかな。

返し忘れ等の不正着手があった場合どうするか、連盟ホームページの「日本オセロ連盟競技ルール」に書かれています。
直前の相手番に不正着手があった場合の指摘
直前の相手番に不正着手があった場合は、自分の時計のボタンを押し、相手の手番に戻した上でその不正の内容を指摘し、相手に訂正させることができる。なお、不正着手とは、自分の打つ石色の間違い、手番の間違い、打てない箇所への着手、返し忘れ、返しすぎ、打てる箇所がある局面でのパスを指す。
まぁ、通常はこれで十分なんですが、細かいことを考え始めるといろいろと疑問が出てくると思います。

競技ルールとして、もうちょっと細かく決めておいた方が良いんじゃないかなぁと思うことについていくつか書いてみます。

ゆっくりと指摘してみる

AさんとBさんの試合にて。
Aさんが最後の手を打って、残り時間5秒。
その最後の手で1個返し忘れをした。
Bさんが時計を押してAさんの手番に戻し・・・
Bさんが「これ返し忘れです!」と速やかに不正の内容を指摘すれば、Aさんは時間内に訂正できるでしょう。

しかしBさんが「えっと、、、たぶんですねぇ、、、返し忘れだと思うんですよ、この石が」と、5秒以上かけて伝えれば時間切れになるでしょう。

これ、どう思います?
道義的には「ちょっとBさんずるくない?」って感じがするかとは思いますが、ルール通りのことをちゃんとしています。

で、これが残り時間3秒だったら? 1秒だったら? と考えるとどうでしょう。
ルールではっきり決めておかないと、その時の責任者によって結果が変わってきちゃうと思うんですね。

そうそう起こることではないんですが、これがメジャー大会の決勝で起こったりしたら、どんな決定をしたとしても当事者も審判も後味がよろしくないと思うんですね。

私は不正着手にはなんらかのペナルティを与えるべきだと思ってまして、それで品川スーパーリーグでは「不正着手を指摘されたら残り時間を2分減らすペナルティ」としています。これならば、上記のようなケースで、指摘された時点で時間切れになるので、問題になりえません。

返し忘れかと思ったら返し忘れじゃなかった

AさんとBさんの試合にて。
Aさんの着手後、Bさんが返し忘れを指摘。
Bさんはルールに従って時計を押してAさんの手番にしています。
しかし実際には返し忘れはしていない。
細かいことを気にしなければ、Aさんが時計を押し返してまたBさんの手番にすれば良いだけなんですが。

このBさんの勘違い指摘によるやり取りの中で、数秒とは言え、Aさんの残り時間が確実に減ってしまってますよね。
この時間、どーしてくれんの! って話です。

こんなことをする人はいないと思いますが、悪意を持ってですよ、この間違い指摘を延々とやったらどうなります? Aさんの残り時間が数秒しかなかったとしたら、「これ返し忘れです」「いえ、返し忘れではありません」と、互いに時計をぽんぽんやり続けたら、最終的にはAさんの時間が0になってしまいますよね。

こういうのもね、何らかのペナルティを与えれば解決できると思うんです。
品川スーパーリーグでは、指摘ミス(不正着手を指摘したが不正着手ではなかった場合)についても、残り時間を2分減らすペナルティとしています。

試しに全部返してみる


これは完全に頭の中で考えた話で、そんなことをするやつはさすがにいないと思いますが。
AさんとBさんの対局にて。
Aさんが60手目を打つと、返らない石を含め、全てのBさんの石を裏返した。
これ、もちろん「返し過ぎ」になるわけですが・・・

まさか、「これとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれと・・・ これを返し過ぎています!」と、全ての間違いを指摘する義務がBさんにあるわけないですよね。
そもそもこんなことされちゃったら、正しい状態はもうわからなくなっちゃってますよね。

こういうしょーもないことをしたら反則負けにできるような、そんなルールを設定しておく必要があると思います。とは言え、素で返し過ぎしてしまった場合に反則負けになってしまうようなルールではやり過ぎでしょうから、なんかその辺をうまくわけられるルールが欲しいですね。

そもそもやり得なルールは良くない


すでにちょっと書きましたけど、不正なことをしてもなんのお咎めもないってのが細かい問題を生む原因になっている気がします。
故意ではないとは言え、ルールに反する不正なことをしているわけですからね、なんらかのペナルティを設定すべきだと思うんですよね。

現在のルールでは返し忘れ等の不正着手にペナルティがないから、ある意味「やってみる価値」があるわけです。
昔イタリアにそういうプレイヤーがいたんですが、わざと返し忘れをしたり、わざとパスをしたり、うまく行ったら(相手が指摘しなければ)勝ちが転がりこんでくる、という狙いね。指摘されても訂正すれば良いだけなんで、やってみて「損」はないわけです。

「そういう悪事を行う人は後々悪いことがある」みたいなお花畑な意見の人もいるかもしれませんが、やられる側にしてみたら、「不正着手を指摘する」という余計な手間を強いられるわけですよ。指摘できないとある意味「損」をするわけですから、指摘した場合には「得」(=相手の損)がないのはバランス悪くないですかね。

ちょいちょいこのブログにも書いてるオンラインオセロ教室ですが、サービス開始したのは2010年の3月。もう8年以上も前になります。

「中島八段のオンラインオセロ教室」と言っている通り、最初は先生役は私一人でやっていました。
どういう流れでそうなったかいまいち記憶にありませんが、2012年12月、清信六段(当時四段かな?)に先生として手伝ってもらうことになりました。
それ以降、三屋七段、上倉六段、長野七段にも先生をやってもらってて、私を含め、オンラインオセロ教室の先生をしたことのある人は全部で5名になります。

開始終了
中島八段2010年3月継続中
清信六段2012年12月2015年3月
三屋七段2014年12月2017年3月
上倉六段2015年8月2018年3月
長野七段2017年6月継続中

いま、7月の全日本選手権の予選大会が各地で行われていますが、この5名、めでたく全日本選手権の参加資格を手にすることができました!

中島八段、清信六段、上倉六段は東京代表、三屋七段は神奈川代表、長野七段は東関東代表となります。

オンラインオセロ教室の先生したことある人のメジャー優勝


これね、オンラインオセロ教室の先生をしたことがある人のメジャー大会優勝、まだないんですよ。
ちなみに長野七段の優勝は、オンラインオセロ教室で先生をやってもらうより前の話ね。

毎年、この中の誰かが決勝までは行ってるんですが、優勝はないんです。
頑張りまっす。

■中島八段のオンラインオセロ教室
http://school.othello.org/

引き続き、オセロのルールに関する話。

これ、名人戦が「地区予選+挑戦者決定戦+名人戦四番勝負」というやり方でやられていた頃の話なんで、20年以上前の話になります。

確か挑戦者決定戦だったと思うんですが、こんなことが起こりました。

AさんとBさんの試合で、Aさんの残り時間はもうすぐ切れそう。
最後、Bさんの2連打で終わるところ。
連打ではあるものの、そのまま進めばAさんが勝つ局面。
Bさんは59手目を打って、ちょっと強めに対局時計のボタンを叩く。
その衝撃のせいかどうかは別として、そこでAさんの針が落ちる。(時間切れになる、という意味)
Bさんはもちろん、自分の針落ち勝ちを主張。
Aさんは、「すでに自分の着手は完了している(60手目はパスで相手の手番)のだから針落ちにはならない」と主張。

この大会の責任者は井上理事(当時)でしたが、井上理事(当時)の判断はどうだったでしょうか。

1. Aさんの時間切れでBさんの勝ち
2. パスのタイミングで時間切れは無いので時間切れにならない
3. 再試合
4. その他

折角なのでちょっと考えてみてから、下に書いた井上理事(当時)の判断と、品川支部のルールとして私がどうしているかをご覧ください。

















井上理事(当時)の判断


井上理事(当時)の判断は、「Aさんの時間切れでBさんの勝ち」でした。

パスも着手のうち、という考え方ですね。
自分の手番になって、パスであることを確認して相手の手番にする、という行為も時間のうち、と。

品川支部で採用しているルール


上に書いた井上理事(当時)のような考え方もあるとは思いますが、私はこの考え方は好きではありません。
これについては、はっきりとどうするのが正しいという理屈は私にはないので、決めの問題だと思ってます。なので私にとって一番違和感のないやり方にしています。

パスの際には残り時間が0になっても時間切れとして扱わない。
その次に打てる場所がある状態で自分の番になった時点で時間切れとなる。

ちょっと回りくどい書き方をしていますが、つまり上に書いたAさんのケースでは時間切れとはせず、Bさんが60手目を打って終局となります。

相手がパスの時には「確認のために」時計を押す、という考え方です。
なので実際はそうではないけど、パスの人が時計を押す行為は「0秒で行われること」とみなすわけですね。

実はデジタル時計ならあまり問題にならない


当時はアナログ時計だったんでね、時計を強く叩くと針落ちしたりしたわけですが、デジタルの対局時計なら、相手がボタンを押すとほぼ同時にボタンを押せば時間は減らないと思います。
まぁでもね、ボタンを押したはずなのに空振りするとかありますし、そんなわけで一応品川支部ではルールとしてそう定めています。(どっかに書いたりはしてないかもしれないけど)

昨日そんな感じの話をしたので、しばらくその流れで。

針落ち(時間切れ)した場合の結果の扱いって、実はよくわかってないという人も多いんじゃないかと思います。
オセロ連盟のホームページに書いてあるものを確認してみたら、実は私も昔のルールと混同しているところがありましたのでシェア。

日本オセロ連盟競技ルール

相手の時間が切れた瞬間、2石勝ち以上が確定


相手の残り時間がゼロになり、それを指摘した瞬間、自分の勝ちが確定します。結果は、最低でも2石勝ち (33-31)になります。

相手が時間切れになったら、自分の残り時間を使って、両方の手(自分の手だけでなく相手の手も)を一人で打つことができます。これを勝手打ちと呼びます。
つまり自分の手については普通に良い手を打って、相手の手については一番悪い手を打って良いわけですね。
そうすれば通常、大勝ちになるのでそれが結果になります。

ただ、残り数手しか残ってない場合など、どう打っても自分の石が32石以上にならない場合もあります。
だからと言って負けにはなりません。相手が時間切れになった時点で2石勝ち以上は保証されています。

相手の時間切れで勝った側の選手は、勝手打ちの結果残った自分の石数か、または33石(2石勝ち)を選択することができます。

途中で打つのをやめても良い


勝手打ちでは、60手目まで全て打つ必要はありません。
ここでやめると宣言して時計を止めることで、その時点で盤上に残っている石数を自分の結果とすることができます。

「盤上に残っている石数が自分の結果」と書いた通り、その場合空きマスは相手(時間切れした人)のものになります。

つまり勝手打ちしなくても良い


上に書いた通り、勝手打ちはいつでもやめることができるので、勝手打ちそのものをしなくても構いません。
その場合、相手が時間切れになった時に盤上に残っている自分の石数か、または33石のどちらかを選択します。

勝手打ち中に自分も時間切れになったら


ここが私が思っていたルールと変わっていたところになります。
昔のルールだと、勝手打ち中に自分も時間切れになった場合は1石勝ち(以前のルールでは奇数石差もあった)となりました。だから現在のルールでは「2石勝ち」になるものだと思い込んでいたのですが・・・

現在のルールでは、自分も時間切れになった場合にはその時点で勝手打ち終了、そこで自ら勝手打ちをやめるのと全く同じ扱いになります。
つまりその時点で盤上に残っている自分の石数か、または33石のどちらかを選択する、ということになります。
なお、石が返し終わっていない場合でもその手は有効で、時間切れになってもその手については全ての石を返すことができます。

もう一つ勘違いしてたところ


昔のルールでは「引分勝ち」という概念はありませんでした。
また、空いたマスは折半なので、1石差とか3石差とか、奇数石差が存在していました。
32対31で1マス空いて終わった場合などが「1石差勝ち」です。

で、勝手打ちをしても「自分の勝ち」にならない場合には「1石差勝ち」とするのがルールだったんですね。

これらの決めをそのまま現在のルールに変えてはめこむと、

「勝手打ちをして引分勝ちになった場合」

については、ちゃんと自分の勝ちになっているので、結果は32-32とするものだとずーっと思い込んでいました。

これ、上に書いた通り、2石勝ち以上にならなかった場合には2石差にする、というのが現在のルールです。

今日は全日本選手権の東京ブロック予選がありました。

その中で1つ、ちょっとトラブル(ってほど大きな騒ぎになったわけではありませんが)がありましたので、全国の大会運営者にシェアしたいと思います。

結果提出後に並べ直したら結果が違ってた! 訂正したい!


AさんとBさんの対局で起こったことです。

引分勝ちの権利はBさんが持っています。
対局が終了して、33対31でAさんの勝ちということで両者合意、Aさんは自分の対戦カードに「○33」と書き、Bさんは「×31」と書いて提出しました。

結果提出後、二人で検討戦ということでそのゲームを並べ直しました。
その終局図を見ると、32対32でした。
32対32なら、引分勝ちの権利を持っているBさんの勝ちになってしまいます!

AさんとBさんが私のところに来て、上に書いた通りなので、結果を訂正したいと言いました。

みなさんも考えてみて下さい


あなたがこの大会の責任者だとして、これに対してどのように対応しますか。

1. 最初に提出された結果通り「33対31でAさんの勝ち」のままにする
2. 訂正を認め「Bさんの引分勝ち」とする
3. その他

私はこれに対して、全く悩む要素なく対応を決定しましたが、みなさんはどう考えますか。

折角なのでちょっと考えてみてから、下に書いた私の対応をご覧ください。

















私の採った対応


私の答えは、「1.最初に提出された結果通り33対31でAさんの勝ち」です。
訂正する必要はありません。というより、してはいけません。

提出済だから訂正できないという理由ではありません。
AさんとBさんが「間違っていた」と主張する根拠が、「並べ直した結果と違う」だからです。
並べ直して得られる終局図と、実戦の終局図が同じであるとは限りません。実戦で返し忘れや返し過ぎがあった可能性は否定できませんし、実戦の終局図を見て互いが合意した結果以上に正しい結果は有りえません。

・・・ということでして、Bさんの立場だと「ほんとは勝ってたのに!」と思ってしまう人がいるかもしれませんが、それって決して「ほんと」じゃないですからね。上に書いた通り実戦で返し忘れ等があった可能性は否定できないし、仮に本当に実戦で32対32だったとしても33対31で合意して結果を出しているわけですから、「ほんとは勝ってた」は間違いです。
「もしかしたら勝ってたのかもしれない」くらいですかね、口にしてもいいのは。

Bさんが石数を確認している最中なのにAさんが「私の2石勝ちですね!」と一方的に言い放って石を片づけ始めてしまったとか、そういうことをしていない限りAさんに全く非はありません。

ということなんですが、世の中には「二人がそう言ってるんだから訂正しよう」と考えちゃう人もいる気がします。
大会によって(責任者の考え方によって)こういう問題に対する対応が違うと、あんまりよろしくないですよね。
過去にメジャー大会でも揉めたりした問題も多々ありますが、どんなケースでどんな判断をすべきか、連盟がガイドラインを出すとか、全ての運営者でなんらかの形で共有できたらいいなぁ、などと思っています。

3日前から書いている、中島八段の小学生オセロ教室の紹介の続きです。
昨日は棋譜提出システムについて書きました。
今日は、その棋譜提出システムを使って棋譜を提出している、上級クラスの生徒への講義ってどんな感じでやってるのかを紹介します。

毎回たくさんのプリントを配布します




こんな感じの、ある局面が印刷されたプリントを毎回用意しています。
元となるのは、棋譜提出システムを使って提出してもらった棋譜を見て、気になる手(基本悪い手)を打った局面について、こうやってプリントにして配布して解説します。
そういう局面で、どういうことを考えなきゃいけないのか、ですね。

上級クラスのレッスンの様子


とりあえず見て頂くのが手っ取り早いですよね。
いつぞやの上級クラスのレッスンの様子を動画で紹介します。


こんな感じです。

子供達って吸収力がすごいんでね、こういう感じで一回やると、大抵二度と同じミスをしなくなってくれます。



■中島八段の小学生オセロ教室
http://seaside.othello.org/renshukai/

■中島八段のオンラインオセロ教室
http://school.othello.org/

一昨日から書いている、中島八段の小学生オセロ教室の紹介の続きです。
昨日は「定石を覚えよう」アプリについて書きましたが、今日は上級クラスの生徒が使う、棋譜提出アプリの話になります。

上級クラスではオセロは打たない


数ヶ月前からそうしたのですが、上級クラスではオセロの対戦は一切しません。

あ、初級クラスと中級クラスでは対局がメインですから、誤解しないで下さいね。

上級ともなると、みんなしっかり考えるようになり、1局にかける時間もしっかりと持ち時間の20分を使い切る感じになります。となると当然、1局打つのに40分はかかるわけです。なので、90分のレッスンの中で対局をしようと思ったら、2局くらい打って終わりになってしまいます。それだと教えてあげられることにも限界がありまして・・・

そんなわけで、対局一切無し、講義のみ、というスタイルに変えました。

打たないで強くなれるの?


もちろん、対局しなかったら強くなれません。

上級クラスに所属するような子達は、レッスンの時間に打たなくても他の場所でたっぷり打っています。
オンラインオセロ教室で毎日のように打っていたり、また、小学生オセロ教室も上級クラスが始まる時間の2時間くらい前には会場に来ていて、別室で自由対局を行っています。ちなみにこの自主練ね、生徒達が自発的に始めたものなんですよ。意識高いっしょ。

大会で打ったゲームの棋譜提出を推奨してます


で、特に大事なのが実際の大会で打った棋譜です。
大会は普段の練習に増して真剣に考えて打っているはず。その中でどういう局面で悪い手を打ってしまうのかを知り、それを直して行くことが大切です。

なので上級クラスの生徒達には、可能な限り、大会で打ったゲームの棋譜を提出するように言っています。

で、棋譜の提出方法ですが、教室の生徒専用サイトに、棋譜提出用のアプリが用意されています。



どの大会で誰と打ったのかを書き込み、棋譜を入力します。
棋譜の入力は、他のアプリで打った棋譜を f5d6c3... みたいな形式で貼り付けても良いし、またはこのページのオセロ盤上で実際に打って行ってもOK。

送られてきた棋譜を見る専用アプリ


そして私の方では、こうやって生徒に送ってもらった棋譜をすぐに見られる専用のアプリが用意してあります。

週末には生徒達からわんさかと棋譜が送られてくるので、それら全てに目を通し、誰がどういう局面でどんな悪手を打ってしまうのかを把握し、その局面を題材に次のレッスンのためのプリントを作る、という流れになっています。

棋譜送信アプリではedaxの評価値が!


鋭い人は上の画像の中に [評価値表示] ボタンがあるのに気づいたでしょう。
そうなんです、提出するために棋譜を打ち込みつつ、評価値を見て生徒自身でも反省会ができるようになってます。
上の局面で [評価値を見る] ボタンを押すと、



こんな感じで評価値が出ます。

この評価値は、私のedaxの出力です。
さんざん学習させた序盤データベースを持っているので、相当正確な評価値です。


どうです、この教室、なかなかすごいでしょ?



■中島八段の小学生オセロ教室
http://seaside.othello.org/renshukai/

■中島八段のオンラインオセロ教室
http://school.othello.org/