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【コラム】世界戦組み合わせ方式
2006年10月30日(月)

 世界選手権や欧米の大会で使われている組み合わせ方法、及び同勝者の順位決定に使用される「ブライトウェルポイント」について、「なんとなくはわかっているんだけれど、細かいところまではわからない」という人のために簡単に説明したいと思います。

同勝者の順位決定方法

 日本では同勝同敗者の順位決定には古くから石数(石差)が用いられており、今日でも殆どの大会で石数による順位決定が採用されています。しかし石をたくさん取れるかどうかは組み合わせによる運が大きいという考え方があり、欧米では石数のみでなく「対戦相手の強さ」を加味したブライトウェルポイントが古くから採用されています。

ブライトウェルポイント

 ブライトウェルポイントBPは、以下の式により求められます。

    BP = 石数合計 + 対戦相手の勝数合計 × 6

 石数に、対戦相手の勝数×6が加えられます。この式は、例えば5勝1敗の人に33対31で勝つのと、4勝2敗の人に39対25で勝つことが同じ価値であると言っています。また、0勝6敗の人が相手だとしたら、63対1で勝つことが同じ価値になります。なんとなく、「そんな感じかなぁ」と納得できないこともない数字かと思います。

手番決定方法

 日本の大会では殆ど全ての大会で「伏せ石」が採用されています。一方、欧米の大会や世界選手権では、手番は組み合わせと同時に自動的に決定されます。ただし大会を通じて、黒番の回数と白番の回数に大きな偏りが出ないように工夫されています。

組合せ方法

 基本的に同勝同敗の人と組み合わせます。ただし組み合わせにその時点でのポイントは考慮しません。日本方式のように石数順に並べ、上から順番に組み合わせるとか、上と下で当てるとか、そういうことはしないわけです。

 それまでの試合で黒番が多かった人は次はまず白番になり、白番が多かった人は黒番になります。黒番の回数と白番の回数が同じ場合には、次の試合は前の試合とは逆の色になりやすくなります。全試合を通じて、黒番と白番の回数が偏らないように組み合わされます。

 1つ前の試合で自分よりも勝数の少ない人と対戦した場合には、次の試合では自分よりも勝数の多い人と当たりやすくなります。勝数の多い人と対戦した場合には、次の試合では勝数の少ない人と当たりやすくなります。勝数の異なる人同士の対戦は、上位よりも下位で発生しやすくされます。

 このようなことを考慮し、全体の組み合わせとして「最も望ましい」とされる組み合わせが作成されます。

ブライトウェルポイントでの不戦勝の扱い

 ブライトウェルポイントでは「対戦相手の勝数」が重要になってくるので、対戦相手が存在しない「不戦勝」の扱いには注意が必要です。中島八段作成のSLIMでは「不戦勝は対戦相手の勝数を0」として扱っているため、不戦勝になってしまうとポイント的にかなり不利になってしまいます。世界選手権や欧米の大会で採用されている方式では、不戦勝は以下のように扱われます。

  ・獲得した石数は32石とする
  ・自分自身の勝数を、その対戦の対戦相手の勝数とする

 すなわち、不運にも(?) 1回戦で不戦勝になってしまっても、最終的に自分が5勝を挙げれば、1回戦で得られるポイントは、石数の32石に自分の勝数5の6倍を加えた62ポイントになります。

 SLIMを使用している品川の大会では「不戦勝はポイント的に不利になる」という前提で、その時点で最下位の人間を不戦勝としていますが、世界選手権や欧米の大会で採用されているルールでは不戦勝がポイント上特に不利になることはないので、勝数が最も少ないグループの中から任意に(組み合わせ上都合の良い)1人が選ばれるようになっています。

ブライトウェルポイントでの棄権者の扱い

 途中で棄権した選手と対戦した人のポイントの計算にも注意が必要です。棄権した選手は(当然ながら)それ以降勝数が増えないため、その人と既に対戦している選手がポイント上不利になります。その棄権した人が棄権せずに打ち続けていたとすれば、その棄権した人が1勝する毎に自分のポイントが6ポイント増えるからです。

 世界選手権や欧米の大会で採用されているルールでは、棄権者が出た場合、その棄権者と対戦済の人は、勝敗は変わりませんがその試合で獲得した石数を32石とし、対戦相手の勝数にその棄権者の勝数を使用せず、そのかわりに自分の勝数を使用します。つまりポイント計算上、不戦勝と全く同じ扱いになります。

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